2010年3月アーカイブ

月夜の兄弟。

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「冷えますよ」開け放たれた窓から見上げた月は、まるで夜空に空いた穴のように円かった。湯呑みを傾けるばかりの兄の肩に手を置けば、ひやりとした肌が薄い部屋着越しにも感じられる。「兄さん」「なら、お前がそうやって触れていろ」振り向きもせずに言われれば、動けなくなる。三月はそっと頷いた。

なんてことはない、
「騎兵兄貴が怪我したって聞いたら、うさみみは喜多路町まで飛んでくよ!」
っていう、ただそれだけの話。

むかしの話

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両親を亡くしたときのうさみみ姉弟。
PLの中では、両親が健在だった頃には上の二人はそんなに仲が良くなかったという裏設定アリ。

騎兵な兄貴は、元小学校教員です。

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磨り減った赤鉛筆を置き、三厳は散らばっていた回答用紙をまとめた。ぐるり首を回したところで、かたんと卓上に湯呑みが差し出される。「まだ寝ていなかったのか」「テスト週間だから。でも、これ飲んだら寝ます」ホットミルク入りのマグを持ち上げてみせた弟に一つ頷き、三厳は湯呑みに手を伸ばした。

たぶん、10年くらい前の兄弟。

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宿題の書き取りをしていた弟が困惑した顔を上げたので、宇佐美三厳はどうしたと声をかけた。「兄さん、この字、あってる?」同じ字を繰り返すうちにゲシュタルト崩壊を起こしたらしい。大丈夫だ、と言っても不安そうにしているので、見ていてやるから、と先を続けさせた。 ...これはこんな字だったか?

140字の小話

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うさみみと、お姉ちゃん。
Twitter的140字小話がマイブーム。

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しょりしょりと、銀のナイフが林檎の皮を剥いていく。ちょいちょいと動く指の動きに合わせ、宇佐美三月の頭上で黒いウサ耳が小さく揺れた。「瑞希さんも食べますか」「面倒でないなら、頂戴」「大丈夫ですよ」しょりしょり、蛇の舌のように皮が落ちる。「三月」「はい」「ウサギさんにしてね」「はい」

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計算間違いは大嫌い。

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